開発商品

 

   
 

コンクリート路盤下の空洞調査

 

使用機器:Noggin500MHzアンテナ スマートカートシステム

 

テキサス州のある製油所では、地質の問題上、地下に空洞ができやすいというリスクがありました。
既存の施設への追加工事で、クレーンなどの重機が敷地内を走行するに当たって陥没事故の危険性が懸念されていたため、GPRを使って事前に地盤の状態を確認しました。
GPRは地表付近の地下に何があるのか(この事例の場合、何が「ない」のか!)を調査できます。ここでは工事を安全に行うためにGPRを使用した例をご紹介します。

   
 
   
 

世界には、その土地の地質が建造物に甚大な被害をもたらす地域が多くあります。地盤の隆起や沈下により、その上にある建造物は破損することもあります。
アメリカの湾岸部にもそのような地域があり、地盤が著しく沈下する傾向にあります。
これに対応するため、通常はコンクリート杭を基盤岩まで打ち込み、建物に対する支持力を十分なものにします。

この地域にある製油所で既存の施設への追加工事が予定され、クレーンなどの重機を搬入する必要があり、これら重機の荷重にコンクリート路盤が耐えられるかどうかを事前に確認することになりました。

GPRはコンクリート構造物下の空洞調査に大変適した方法です。
調査時において、路面上にはクラックなどの変状は見られませんでしたが、製油所側は重機を搬入しても大丈夫という確信が得たかったのです。

調査はNoggin500スマートカートを使用して、9か所のエリアで実施されました。
図1にはあるエリアの代表的な地中レーダプロファイルを示します。深度約20cm付近には通常のコンクリート路盤内の鉄筋の反応が見られていますが、その直下にも高振幅の異常反射が検出されています。

   
 


図 1:断面図 深度約20cm付近に通常鉄筋構造にみられる反応が確認できる。
深度30cm付近に不可解な高振幅の反射が見られる。

 

図2は深度約20cm付近のスライスで、コンクリート路盤内の鉄筋がはっきりと確認できます。
図3は深度約30cm付近のスライスで、規則的な高振幅パターンが見られます(赤で示された部分)。 当初の解析では、高振幅エリアはおそらく支持杭であり、低振幅エリアは土壌の部分であろうと見られていました。
これらの解析が正しいか見極める方法は、実際に掘削を行い地下の状況を確認するしかありません。掘削してみると、コンクリート路盤の下に空洞が発見されましたが、その箇所は当初、支持杭からの反応と考えていた高振幅エリアと一致しました。この反応はまさに空洞の存在を示していたのです。

   
 


図 2

   
 


図 3:深度30cm付近のスライスビュー(上図)と断面図(下図)。
断面図の高振幅反射は深度スライスの赤いエリアと一致している。

   
 

低振幅のエリアはコンクリート路盤とからコンクリート杭の境界の反応でした。
この調査から、すべての構造物は杭によって完璧に支えられていたが、杭がない部分については、コンクリート路盤下の地盤はすべて沈下していたことが判明しました。空洞は深さ45cmほどであることが確認され、直ちに補強処理が行われました。その後予定通り追加工事が開始され、重機が安全に搬入されました。

この事例は、地表からは地下の状態が把握できないことを示しています。実際に探査前のコンクリート路盤には何の変状も認められませんでした。
しかし、もしGPR探査で地下の状態を確認する作業をせずに重機を搬入していたら、安定性に関して深刻な問題が起こっていたことでしょう。

コンクリートと空気の電気的性質は大きく異なっており(比誘電率は9から1へ変化する)、空洞はGPRデータ上では強い反射としてあらわれます。コンクリート杭とコンクリート路盤には性質の違いはほとんど無いため、コンクリート杭と路盤が接触している場所では、反射は弱いか、境界面として検出されない状態となります。

GPRは空洞調査に大変適した、安全・迅速に行えるで効果的な方法であり、この他にも滑走路調査や道路のメンテナンスなど様々な用途で威力を発揮します。

   
   

 

 

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